量子化ビット数が24ビットのPCMデータを取り扱うために、C++にて後記のHSWAVE_PCM24構造体を実装した。
この実装が最適か確認をお願いしたい。
このHSWAVE_PCM24構造体の利用想定シーンとして以下を考えております。
* WAVEファイルから読み取る場合はHeapAllocなどで動的確保したメモリ内にロードし、それを『HSWAVE_PCM24*』型にキャストして利用する
* メモリ上のPCMデータに対し何らかの処理を行う場合、各要素にはループで個別にアクセスする
* 本構造体の配列に対しmemcpyを利用する
struct HSWAVE_PCM24 {
//この構造体の利用個所ではmemcpyを使うことを想定しているためuint8_tの配列で値を保持している
uint8_t bytes [ 3 ];
int operator=( int nValue ) {
bytes [ 0 ] = nValue & 0xFF;
bytes [ 1 ] = ( nValue & 0xFF00 ) >> 8;
bytes [ 2 ] = ( nValue & 0xFF0000 ) >> 16;
return nValue;
}
operator int ( ) {
int buf = bytes [ 0 ] | ( bytes [ 1 ] << 8 ) | ( bytes [ 2 ] << 16 );
if ( bytes [ 2 ] & 0x80 ) buf |= 0xFF << 24;
return buf;
}
};
以下の観点で確認しましたが、いくつか改善ポイントがあります。
- メモリレイアウトが3バイト固定なので、
memcpyで配列コピー可能。 - 符号拡張処理(
if (bytes[2] & 0x80) buf |= 0xFF << 24;)により24ビットPCMを32ビット符号付き整数へ変換できる。 - 代入演算子とキャスト演算子のオーバーロードで直感的な使い方が可能。
-
代入演算子の戻り値型
- 現在
int operator=(int nValue)ですが、通常はHSWAVE_PCM24& operator=(int nValue)とし、自分自身への参照を返すのが慣例です。 - これにより、
a = b = c;のような連鎖代入が可能になります。
- 現在
-
符号拡張の処理
- 現在の符号拡張は
bytes[2] & 0x80を見てbuf |= 0xFF << 24していますが、より安全な方法は(int32_t)(buf << 8) >> 8で算術シフトすることです。 - 例:
int operator int() const { int buf = bytes[0] | (bytes[1] << 8) | (bytes[2] << 16); return (buf << 8) >> 8; // 符号拡張 }
- 現在の符号拡張は
-
エンディアン依存性
- 現在の実装はリトルエンディアン前提ですが、WAVEはリトルエンディアンなので問題なし。ただし、コメントで明記すると良いです。
-
パフォーマンス
operator=内でビット演算を毎回行うのは許容範囲ですが、もし大量処理するならinline指定やSIMD化を検討できます。
-
型の安全性
intは32ビット前提ですが、環境によっては64ビットになる可能性があります。int32_tを使う方が安全です。
#include <cstdint>
struct HSWAVE_PCM24 {
uint8_t bytes[3]; // Little-endian 24-bit PCM
HSWAVE_PCM24& operator=(int32_t nValue) {
bytes[0] = nValue & 0xFF;
bytes[1] = (nValue >> 8) & 0xFF;
bytes[2] = (nValue >> 16) & 0xFF;
return *this;
}
operator int32_t() const {
int32_t buf = bytes[0] | (bytes[1] << 8) | (bytes[2] << 16);
return (buf << 8) >> 8; // 符号拡張
}
};- HeapAllocで確保 → キャスト利用:OK
- ループで個別アクセス:OK
- memcpyで配列コピー:OK(構造体サイズが3バイト固定なので問題なし)
💡 追加提案
- 大量処理する場合は、
std::vector<HSWAVE_PCM24>を使うと安全。 - WAVEヘッダ処理やチャンクサイズ計算時に
sizeof(HSWAVE_PCM24)が3であることを前提にするなら、static_assert(sizeof(HSWAVE_PCM24) == 3);を入れると安心。
必要なら、「符号拡張の仕組み」や「24ビットPCMの扱い方」について詳しく解説できますが、続けますか?
符号拡張(Sign Extension)は、小さいビット幅の符号付き整数を大きいビット幅に変換する際に、符号(正負)を保持するための処理です。
24ビットPCMは 符号付き整数(2の補数表現) で表されます。
しかし、C++の標準的な整数型は8・16・32・64ビットなので、24ビットを扱うには32ビットに変換する必要があります。
問題は、負の値を正しく再現することです。
例えば、24ビットで 0xFF0000 は負の値ですが、単純に32ビットにコピーすると 0x00FF0000 になり、正の値として解釈されてしまいます。
- 正の値:最上位ビット(MSB)が
0 - 負の値:最上位ビットが
1(符号ビット)
24ビットの場合、符号ビットは bit 23(0から数えて24番目)です。
32ビットに変換する際は、bit 23 の値を bit 24~31 にコピーする必要があります。
int32_t buf = bytes[0] | (bytes[1] << 8) | (bytes[2] << 16);
if (bytes[2] & 0x80) { // MSBが1なら負数
buf |= 0xFF << 24; // 上位8ビットを1で埋める
}int32_t buf = bytes[0] | (bytes[1] << 8) | (bytes[2] << 16);
buf = (buf << 8) >> 8; // 左に8ビットシフト→右に算術シフト- 左シフトで符号ビットを最上位に移動
- 右シフトで符号付きシフト → 上位ビットが符号で埋まる
この方法は簡潔で安全です。
-
PCM値
0xFF0000(24ビット) → 負数- 単純コピー:
0x00FF0000(誤り) - 符号拡張後:
0xFFFF0000(正しい)
- 単純コピー:
-
PCM値
0x000100(24ビット) → 正数- 符号拡張後:
0x00000100(正しい)
- 符号拡張後:
💡 補足
符号拡張は「ビットパターンを変えずに、符号を保持したままサイズを広げる」ための処理です。
C++では、int8_t → int32_t のキャストは自動で符号拡張されますが、24ビットは非標準サイズなので手動で行う必要があります。
必要なら、「24ビットPCMをfloatに変換する方法」や「逆変換(int→24ビット)」も解説できますが、続けますか?